第11章 過保護
時を遡って、数時間前。
「はァァァァ!?学校に行くぅ!?!?」
流衣の珍しすぎる、感情が顕になった声が自宅に響いた。
「煩い。まだ早朝だ、近所に迷惑がかかる」
軽くあしらう相澤だったが、隣にいたマイクも渋い表情をしている。
病み上がりの相澤を、見舞いに来ていたのだ。
流衣も心細いだろうからと、昨晩から泊まっている。
実際、流衣は家事があまり得意ではないため、マイクが来てくれて助かったと、相澤も流衣も心底思っていた。
「つってもなー消太。その怪我で無理して、倒れられたら大変だからよう」
エプロン──彼の私物だ──を付けながらマイクが言うと、流衣は何度も頷いた。
「そうだよ、同僚に迷惑かける気なの?仕事休みたくないって気持ちは尊重するべきなのかもしれないけど…少なくとも今日は、家にいて」
必死な様子に、気圧されたのか何なのか。
相澤は、渋々頷いた。
「分かった、今日は休むよ」