第11章 過保護
──休むよって言ってたのに!あの嘘つき!馬鹿!!!!
全身包帯姿の男を思い切り睨みつける。
しかし、相澤は知らん顔をした。
あの時の言葉はその場凌ぎの嘘だったのだと認めているようなものだ。
「先生、無事だったのですね!」
飯田の声に、流衣はうんざりする。
──無事な訳ないでしょ…あいつ、目ぇついてんの………?
「俺の安否はどうでもいい」
無愛想な相澤の言葉。
流衣は思わずキレそうになったが、それを必死で抑え切った。
──どうでもいい訳あるかぁっ!!あのアホ!!!!!
生徒に心配かけまいとしているのか、仕事を休むのが嫌なだけなのかは分からない。
何となく両方だと流衣は思っているが、──心配しない人間がゼロでないことを忘れないでほしいとは思う。
家族のことを心配しないほど、こちらは冷たい人間ではないのだから。