第11章 過保護
そして、1時間後。
1年A組、HRにて。
「お早う」
聞き慣れてはいるが、今日はここで最も聞きたくない声がした。
まさかと思い、流衣は伏せていた顔を上げた。
包帯で顔が見えない状態の相澤を見て、流衣は思わず立ち上がる。
ガタガタッ
椅子の倒れる音がした気もするが、どうでも良い。
「ばっ、」
「時暮。席につけ、HRを始めたい」
間髪入れずに言ったところからして、流衣の反応は想定内だったのだろう。
「…すみません」
悪いのは消太の怪我の具合だけどね、と内心悪態をつきつつ席に座り直す。
普段、感情どころか言葉すらあまり発しない流衣の反応に、クラスメイトたちは怪訝な顔をしていた。
しかし流衣はそれにも構わず、相澤を思い切り睨みつけた。
──今日は休むって、言ってたのにあの嘘つき。職員会議にも来てなかったのに…馬鹿。