第2章 少女の名は
──それってつまり、どういう、…こと………?
緑谷が考えを巡らせていると、全体的にピンク色をした少女がねぇねぇ!と明るく話し掛けた。
「どういう個性なの!?今、全っ然わかんなかったよー!」
すると、女子生徒は首を傾げた。
「…今、個性使ってるように見えたの?」
──………え?
「見えなかったよ!?だから知りたいの!」
「私は無個性だよ」
さらりと返された言葉。
クラス中に衝撃を与えるには充分すぎた。
「む、無個性!?」
「本当かよ!?」
「マジだったらあの子化物じゃね…!?」
驚愕の色を隠さない声がいくつも上がる。
そこでようやく、彼女の成績の異常さにクラスメイトたちは目がいったようだ。
緑谷は、自分の受けたショックと戦っていた。
自分は、昔から無個性はヒーローになれないからと蔑視されてきたのだ。
それが、いとも簡単に──無個性なのに、と尊敬の眼差しを受ける人物に出会ってしまうとは。