第10章 少女の変化
相澤と共にマイクの車に乗り込むと、マイクはすぐに車を走らせた。
「消太、暫くお前ん家に泊まらせて貰うわ」
家事とか、その方が助かるだろ。
マイクは静かに、そう言った。
怪我人に気遣っているのかもしれない。
「私は、消太がいいならって答えてある」
流衣が補足すると、相澤は溜息を吐いた。
「………助かる」
その響きが、本当に安心したかのようで。
やはり心細いのだろうか。
流衣は、包帯姿の相澤を横目で見て、チクリと胸に痛みが走るのを感じた。
ゆっくりと流れる、窓の外の風景を眺めた。
──もう、こんな怪我はさせたくない。
──なら、活動できるよう、する事は決まってるけど………。
──でも多分、それには時間がかかる。
──なら、私はどうすれば…
ふと、目に留まるものがあった。
──そうか。知識だ。
目に入ったのは、地元密着型の小さな書店。
そういえば、相澤の家に来てもう10年は経つのに、入ったことがなかった。
元々、本は読まない質だが──知識が、必要になる時が来るかもしれない。