第9章 決意
そして、頭の中での後悔・自責は続く。
──私が、ちゃんと授業に出ていれば。
──誰も怪我しないで、守れたのに。
襲撃に来た奴らは敵連合と自らを名乗り、そして警察の到着を待たずに去っていった。
疲労困憊…否、それ以上か、活動時間に恐らく悪影響の出たオールマイトと、怪我と一言で済ますには重すぎる怪我をした相澤と13号を残して。
──私は…できたのに、何も…っ
相澤が病院に運ばれている間、隣で流衣はやはり静かに震えていた。
救急隊員は心配そうに声を掛けようとするが、実際に声を掛ける事はできない。
それ程までに彼女の纏う空気は張り詰めており、他人が容易に触れていいものでは無かったのである。
──「事情聴取は病院で聞きますから、ついて行かせて下さい」
そう、彼女は言った。
流衣の丁寧な口調が初めてだったからだろうか。
たったそれだけで伝わる、彼女の感情────憤怒、悔恨、そして不安。
誰もだめだと言うことはできず──また、教師陣はそのまま彼女を送り出した。
教師たちは、相澤よりも寧ろ流衣の方を心配していたくらいなのだが──意外と、相澤は頑丈なのだ──、生徒たちは相澤と、そして唯一の怪我人・緑谷を心配していた。
クラスに馴染めず、そして事件の際にその場には居合わせなかった、彼女の事など目に入らぬというように。
実を言うと、怪我人への心配でそこまで頭が回らなかっただけなのだが────
"クラスメイトたちは、誰も流衣を心配しない"
その事実が、教師たちを苦しめた。