第9章 決意
涙は止まらなかったが、流衣の頭は、次第にクリアになっていた。
マイクの優しい手つきに合わせて、落ち着きを取り戻す。
相澤は肉弾戦にも強く、地味ではあるがヒーローとしての実力もある。
それですらも苦戦を強いる強敵が、ヒーローの巣窟に侵入してきたという事実。
どう受け止めるべきであろうか、と。
──それに。
──それだけじゃない。
自分が、仮眠室で楽しく談笑している間に。
相澤は敵と戦っていて。
出会った頃──その時から、ずっと自分を助けていてくれる存在であった彼を、助ける事ができなかった。
後悔しても、しきれない。
──もう、やめだ。
──助ける。ちゃんと、大切な人を…守ってみせるから。
──"ヒーロー"に、なる。
ギリッと奥歯を噛み締めた。