第8章 昔の話
オールマイトが流衣を思って悲しくなっていた、その数時間後。
「一種の反抗期かしら。どう思う?」
溜息を吐き、ミッドナイトは酒を呷っていた。
その様子は、いつにも増して物憂げである。
流衣にキツく言われた授業の日から、毎日こんな調子だ。
余程精神面にきているらしい。
いつものように、彼女は同僚たちを誘って飲み屋に来ていた。
当然、話題はとある女子生徒のこと。
流衣と話した後は、必ずこうなる。
セメントスは穏やかに笑いながら、どうでしょうねえと返す。
因みに彼は、流衣と知り合ったのは彼女の入学がきっかけである。
「昔は、仲良かったんでしたっけ」
「そぉ〜よぉ〜、あの頃の流衣は可愛かったのに…今はどうして………」
ずぅん、と落ち込むミッドナイト。
しかし、マイクがそれに水を差す。
「流衣と仲良かった時なんかあったか?」
初対面は確か流衣が小学校6年生の頃だったか。
最も、彼女が尖っていた頃である。
世間から自分がどのような存在であるのかを認識し。
そうか自分では歓迎されないのか、疎まれるのかと自覚した、そんな頃。