第2章 少女の名は
そして──第5種目、ボール投げ。
少女の出番も、もうすぐだという時──
「ったく…何度も"個性"使わすなよ」
相澤が怠そうに呟く。
そばかすの多い男子生徒の記録に不満を持ったらしい別の生徒が、飛びかかっているところだった。
身につけていた「捕縛武器」で、目つきの悪い男子生徒を拘束している。
そんな中、ねぇ、と相澤に声を掛ける女子生徒が1人。
「私、まだ投げてない」
無表情という訳でもないが、何を考えているのかを感じさせない。
爆豪の様子にも怖気付くこと無く、一瞥するだけだ。
相澤にも敬語は使わず、相澤もそれを気に留める様子は見られない。
そんな様子に、緑谷は違和感を抱く。
──何だこの子…?