第2章 少女の名は
その女子生徒は、第1種目から第4種目まで、至って普通の成績ばかりを叩きだしていた。
やる気のない態度は本物だったようで、しかしながら周囲からはギリギリ手を抜いているようには見えない。
目立つ成績を出さないせいか、クラスメイトたちも一切、彼女の事は見ていなかった。
否、クラスで最も低身長の男子生徒など──一部の男子生徒は、彼女の容姿に惹かれじっと見つめていたのだが──その程度である。
彼女の成績には、誰も興味を示していなかった。
表情や呼吸が一切乱れず、一言すら発していないことに違和感を抱く者はいなかったのだ。
運動をしているというのに呼吸が一切乱れないというのは、即ち手抜きを裏付けるものであり、また──それでも尚「普通の」成績を出せるという彼女を、誰も何とも思ってはいなかった。