第7章 不仲な2人
相澤に対するときとは違い、逆に冷静で、鋭い声だった。
その声色に、何人かはビクリとする。
「いいから、出なさい」
「ほら、私が授業に出ることの理由すら言えない。見出せない。……ヒーロー、向いてないんじゃないですか?」
どこまでも冷えたその瞳は、全てを切り裂く鋭利なナイフのようだ。
──ヒーローに向かって「ヒーロー向いてない」って、なんて言うか……うわあ、時暮さん………
色んな意味で凄いなあ、と緑谷は内心少し引き気味だ。
そしてなぜか、ミッドナイトは何も言い返さない。
見かねたのか、相澤は長い溜息を吐いた。
「言いすぎだ」
再び、流衣を拘束する。
ぐるぐる巻きにされた流衣は、不満顔だがそれ以上は何も言わなかった。