第7章 不仲な2人
その日、帰宅してから、流衣は相澤に叱られた。
「もう少し大人になれ」
「無理。私、あの人嫌いだし、授業受けるなんて論外」
私には通用しない個性だしね、と流衣は不貞腐れている。
「頼むから。…ミッドナイトさんと揉めるのはやめてくれ。いいな」
──なんでそんなにあの人の事。
相澤の言葉に、更に臍を曲げる流衣。
──そんなにミッドナイトが好きなら、私をひざしくんにでも預けて同棲でも何でもすればいいじゃない。
──ムカつく。
いつからか、相澤がミッドナイトの肩を持つ事に、苛立ちを覚えるようになっていた。
そもそも、彼女がミッドナイトを嫌うのは──「女」の部分を相澤に多く見せている(かのように、流衣には思える)からであって、そこまで感情があるのなら自分の気持ちにも気付いていても不思議ではないのだが。
流衣はやはり、気づかない。
そしてやはり、相澤もまた──流衣がなぜそんなにも苛立つのか、ミッドナイトを嫌うのか──気付かないでいた。