第6章 噂の少女
「…消太たちは行くの?」
「ああ。警察が来るまでの足止めだけどな」
「なら、私が対処した方が──」
言いかけたところで、マイクが流衣の肩をがしっと掴んだ。
「ノーノーノー、お前は実践しちゃいけねぇっつー事になってるだろ!?特例とはいえ、ダメだぜ!?そりゃ流衣がしてくれれば一瞬だけど、チートってやつだ!!俺らに任せろよ、な!?アーユーオーケイ!?」
「マスコミには、絶対に存在を知られるなよ…お前を悪用しようとする輩が、必ず出てくる」
2人の説得に、流衣は頷くしかなかった。
力になりたいのに、実力はあるというのに──それを許して貰えない辛さ。
でも、自分が"実力行使"に踏み込んではいけない理由もよく分かっている。
だから、頷くしかなかった。
「………わかった」
相澤もマイクも、流衣が内心何を思うかは理解している。
だからこそ、何も言葉は掛けなかった。
代わりに、相澤は流衣の頭を優しく撫でる。
「いい子だ。…待ってろ」