第6章 噂の少女
ガラガラと扉が開かれ、瞬時に静まる教室。
勿論、皆席に着いている。
しかし、
「学級委員長を決めてもらう」
相澤の言葉を聞いた途端、教室は騒がしくなった。
皆、自分がと意気込んでいるが、
──私以外なら、誰でもいいや。
流衣は相変わらずの怠惰を見せる。
なぜ皆、委員などという雑務をしたがるのだろうか。面倒だとは思わないのだろうか。
委員長に立候補するなど、流衣からしてみれば、理解に苦しむ行動でしかない。
我よ我よと挙手するクラスメイトたちの中で、流衣はただ1人、突っ伏して寝始めた。
「これは投票で決めるべき議案!…ということで、時暮くん、起きてくれ!!」
揺すり起こそうと飯田が流衣の席まで行こうとすると、──相澤が止めに入った。
「そいつは気にするな。やる気のない奴は参加しなくて良い。時間の無駄だ」
──え、ここは教師として起こさないと…
緑谷はそう思うが、誰も気にする様子はない。
やはり、彼女の閉塞的な性格がそうさせているのだろうか。
帰り際に少し話した緑谷としては、意外と話しやすい人だと思ったのだが、彼女自身は積極的に他と関わるつもりはないようだった。
「……分かりました。では、時暮くん抜きで投票を!!!」