第5章 意識の違い

──で、やっぱり相変わらずか…

気持ちよさそうに、流衣は眠り始めた。
相変わらずの無防備さに、相澤は溜息を吐きたくなる。
2人でののんびりとした会話が終わると、いつも彼女はその場で眠りこけるのだ。
その寝顔は、幼い頃と変わらず邪気もなく、あどけなさが残る。
普段の美しさとは違った表情で、──他の男には見せたくないと思ってしまう。

しかし、相澤とて男。
好きな女が隣で寝ているのは、頂けない。
恋人だったなら話は違ったのかもしれないのだが。

やめてくれと退かしたい気分で一杯、しかし甘えられていると思うとどうもそれができない。
男として意識されていないのは分かっている。こんなに年が離れていたら仕方ないだろうし、何せ自分は流衣の後見人、彼女にとっての親のような存在である。

そんな存在に恋慕を抱く方がどうかしているのだ──自分を含めて。

この気持ちはいつからだと訊かれても、答えることはできない。