第5章 意識の違い
寄り道。
それは、高校生活を楽しむ上で欠かせないものであり、即ちそれは──緑谷と流衣以外にもする生徒がいるという事でもある。
「ねえ、あれ、さ……」
耳郎の声に、皆が視線をそちらに向ける。
店の隅で話し込んでいたのは、そう──緑谷と流衣だった。
「緑谷と…時暮!?何、あいつら付き合ってんの?」
「否──まだ断定するには尚早」
「つってもなー。時暮だしなあ」
「時暮、クラスメイトと会話する気あったんだな」
好き勝手言うクラスメイトたち。
しかしその中で、麗日は少し後悔していた。
──私も…誘っとけば良かったやん…!!
緑谷ともっと話したい。
時暮と付き合ってしまったら、その時間はあまり取れないだろうし──
──あれ、付き合っとるって考えたら何か……モヤモヤする。
考え込む麗日を置いて、会話は進んでいく。
「元々知り合いだったとか?」
「いや、それなら爆豪もだろ」
「でも、それなら接点なくねえ?」
何故か、既にクラスメイトたちの間では付き合っているという事になっているようだ。
やはりそうなのだろうか。
出会ってまだ数日の男女が寄り道を2人で、となるとそういった感情に結びつけてしまうのは自然なことなのかもしれない。
そして、そんな2人を店の外からちらちらと見ながら──、切島が呟いた。
「そういや爆豪、今どうしてっかな」