第5章 意識の違い
「うん。どうぞ」
「君はなんでヒーロー科に来たの?言っちゃ悪いんだけど…その、あんまり本気出してるようには見えなくて……」
本当は爆豪とのやり取りについて詳しく聞きたかったが、彼女は何も教えてくれないだろうと判断しての質問だった。
実際、気になっていたことでもあるのだから。
流衣は授業中ほぼずっと寝ていて、実技授業でも見学していたり、こっそりサボっていたりといった行動が目立つ。
それでいて、何をさせても涼しい顔でクラス中位に食い込む。
問題を解かせれば、例え寝起きであっても完璧な答えを一瞬で導くし、本当はかなり優秀なのだろう。
本気を出せばもっと良い成績をだせるのだろうし、だからこそどうしてという思いが強かった。
すると、流衣はうーんと思案顔になった。
意外にも、表情は豊からしい。
「ヒーローってさ、人気が出ればスポンサーとの契約も結べるし、給料高いでしょ?だから、安泰だなと思って。で、ついでに言うと、雄英に来たのはヒーロー事務所の目につきやすいからだね」