第5章 意識の違い
「…なんで、緑谷はヒーローになりたいと思ったの?」
意外にも普通で、しかし流衣にとっては重要な問いなのだと、表情から分かった。
──なんでこんなに真剣なのかは分からないけれど…
「…僕は、オールマイトの昔の動画を見てヒーローになりたいと思ったんだ。オールマイトみたいに、笑顔でみんなを助けられるような…そんなヒーローに、なりたいと思う」
「でも、個性使うと反動凄いでしょ?君の場合は。大怪我してまで、なりたいものなの?他の職業じゃだめなの?」
「ヒーローになりたいんだ。オールマイトに憧れたから。警察とかも、勿論凄い職業だとは思うんだけど…でも、ヒーローになりたい」
上手く伝わっているだろうか。
でも、これが自分の思いだ。
「…そっ、か。憧れ…ね」
ありがとう、と流衣はぺこりと頭を下げた。
その礼が、礼儀正しいのか、他人と距離を置くためのものなのか分からないくらいには、彼女の動作は洗練されていた。
「僕からも1ついいかな?」