第4章 ヒーロー基礎学
「なあ、時暮」
轟は、帰りのHRが終わってすぐ、前の席に座る女子に話し掛けた。
授業直後でもよかったのだが、流衣は休み時間毎回寝ているため、声を掛けるのが憚られたのだ。
周りは先程の授業の内容について、それぞれが楽しそうに話しているが、自分には関わりのない事だった。
他のどのクラスメイトの戦いよりも、流衣が見学に回った事が1番気になった。
「なに?」
きょとんとした顔で流衣が振り返る。
無表情だと思っていたが、そうではないらしい。
「いや、戦闘訓練についてだけど…お前、なんで見学だったんだ?」
「えぇ、そんな爆豪みたいな事言わないでよ…先生の決定だから、だよ?オールマイトさんも言ってたでしょ?」
苦笑しながら言う流衣。
──…オールマイト、「さん」?
教師陣と面識があるかもという疑念が、確信に1歩近づく。