• テキストサイズ

【ヒロアカ】"無個性"だけどヒーロー科

第30章 「時計」



しかし、相澤は答えない。

答えてもいいのか、迷っているように見えた。

「…言えねえのか」

教室の1番後ろから、そんな声がした。

振り向かずとも誰の声かわかるが、しかし皆が驚く。
まさか轟が、声を上げるなんて思ってもみなかったからである。

複雑な環境で育った彼には、事情は違えど流衣の気持ちもある程度はわかるのだろうか。
いつになく真剣な表情を浮かべていた。

「…どう思った」

相澤の目が不安げに揺れているのは、何か特別な理由があるのだろうか。

流衣の事になると感情が露わになる気がするけれど、と緑谷は思う。

ただの「教師と生徒」以上の関係である事を知らない緑谷は、気の所為だろうと思い直す。

「…先生の話が本当であるのなら、純粋に、なぜこの学校に来たのだろうと思います」

飯田が挙手する。

しかし、その声は静かだった。
やはり彼も、この教室の空気に呑まれているのだろうか。


/ 288ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp