第30章 「時計」
「………お前らが、この話を聞いて、あいつに否定的な感情を抱いたのであれば…除籍も検討している」
「除籍って…先生の決めることなんじゃないの?」
「本来ならそうだ。
だが、あいつに限った話では…違う。国からも言われているんだ、生徒から批判的な感情があれば即、除籍するようにと」
だから、お前らが決めろ、と。
「批判的とは、時暮さんをいない方が良いと考える事でしょうか」
「昔がどうであれ、時暮ちゃんに非はないもの」
「クソアマ、嘘ついていやがったのかよ。殺す」
「同情されるのは不本意かもしれないけど…僕は、彼女にいてほしいと思う」
「あいつ、話すと良い奴だしな!!」
批判的な内容は、1つもなかった。
爆豪だけは相変わらずだったが、それが彼の通常運転である。
安心したように、相澤は口を開く。
「今は寮内療養中だ。
────戻ったら、声を掛けてやってくれ」
あいつもきっと、喜ぶ。
話はそれだけだ、と言い残して、相澤は教室から出て行った。
「今日の話は、他言無用だ。外部に漏れたら、ヒーローへの道は閉ざされることになるからよろしく」
と、脅しにしかならない事実を付け加えて。