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【ヒロアカ】"無個性"だけどヒーロー科

第30章 「時計」



初の戦闘訓練の時、自分は尾白に「世界が違いすぎて」悪かったな、と言った覚えがある。

父親が憎くて仕方なかった頃の話だ。

今でも父親を許した訳ではないし、好きにはなれないけれど、あの時ほど張り詰めた空気ではないと自負している。

No.2ヒーロー、エンデヴァーの息子。

この肩書きだけで、周囲からは一目も二目も置かれる存在になる。

それは嫌という程分かっていたし、また、それに見合う実力を持っているつもりでもいた。

そして雄英に入って、すごい奴らと出会った。

自分の事は顧みずに相手ばかりを心配し、心の中にズカズカと遠慮なく入ってくる緑谷。

高い志と、優しく他者を思いやれる飯田。

1番になることを渇望し、常に熱く、しかし冷静な爆豪。

何事に対する解決策も瞬時に思い浮かべられる八百万。

他にも自分にはないものを持つ同級生が沢山いた。

そんな中で、──「私は無個性だよ」
そんなことを言う少女に出会った。

何か隠しているのだろうとは最初から思っていたのだが正直、相澤の話は想像を遥かに超えていた。



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