第4章 ヒーロー基礎学
モニターを見ながら、流衣は感心した。
──へぇ、爆豪って…なんだ、実力もあったのか。ちゃんと。
とは言っても、やはり彼女は部屋の後ろの方で、静かに1人でいるだけだったのだが。
入試は、合格できる程度に手を抜いたために適当だった。だから、爆豪が1位と聞いてもあまり凄さが分からなかったのだ。
しかし、これは──
「爆豪は間違いなく、センスの固まりだぜ」
──天才だ。
その一方で、モニターには、どんどんボロボロにされていく緑谷の姿が映されている。
──あんなボロボロになってまで、ヒーローになりたいかなあ?
流衣からしてみれば、緑谷は到底理解できない存在だ。
それほどまでヒーローになる事が、価値あることだとは思えない。個性の自由使用が認められるだけなのではないだろうか。
しかも彼は、個性発動による反動が大きい。
その反動を負ってまで、ヒーローになりたいのか?
ヒーローになれば、命を狙われることが増える。死にやすくなる。
そこまでして、彼がヒーローを熱望する理由が、流衣には分からなかった。
リカバリーガールがいるからと安心している可能性もあるが、彼女の治せるものだって限界がある。