第4章 ヒーロー基礎学
相変わらず冷静な流衣の返しに、オールマイトも頷く。
「そうだ。決して無個性だから、という訳では無いんだ…そこのところ、汲んでくれると嬉しいね」
──事情って…何だろう。
怪我をさせてくれるななどといった類の親からの連絡かとも思ったが、それでは英雄に入学させた事についての説明がつかない。
だからそれはつまり、本当に"教師側だけの"事情となる。
一生徒、否、流衣だけに限った特別な話で──彼女に怪我をさせられない、もしくは訓練に参加させないようにとの判断を下さざるを得ない理由とは何だろうか。
また、これは勘違いかもしれないが、個性把握テストの際、彼女は本気を出しているようには見えなかった。
最下位だった自分と比べずとも、決して悪くは無い成績だったために、違和感を拭いきれない。
──彼女は…何を、隠してる?
ボール投げの際に爆豪を止めた時だって、何をしたのかはその場にいた誰にも分からなかった。
加えて、「適当でいい」との相澤の言葉。
何か裏があるのでは、と変に勘ぐってしまう。
しかし、そんな緑谷の思考は強制的に中断させられた。
「Aコンビがヒーロー、Dコンビが敵だ!!!」