第29章 教師と生徒
──え、だ、抱……?え、?????
混乱する緑谷出久。
「前、私たちが噂になったの、覚えてる?」
いつの間にか、流衣の涙は止んでいた。
それどころか、愉しそうとも捉えられるような様子で流衣は言う。
「あ、あったねそんな事…」
──余計な事は考えちゃ駄目だ。
妙に緊張が高まり、緑谷は目を逸らした。
突然、何を言い出すのだろう。
この状況もあって、緑谷の顔は真っ赤である。
「それさ、………現実にしたいって、思ったことは無い?」
「っへ、」
「現実に──────しちゃおっか」
緑谷の返事を待たず、流衣は緑谷のシャツのボタンをぷつり、ぷつりとゆっくり外していく。
──!?…………………!?
流衣の言う現実とやらには頭が付いていけないが、取り敢えずぱしりと緑谷は彼女の手を掴む。
「ちょ、やめよう!?話なら聞くからさ!!!」
この状況から脱しようと、緑谷は上体を起こそうとする。