第28章 気付く時
そしてそのまま流衣はマイクの後を着いていき、部屋に入ったところでぎゅっと抱き着いた。
マイクは会話の内容までは聞いていなかったために、何が何だか分からずに困惑するばかりである。
「ど…しよ、」
よく見ると、流衣の頬は真っ赤だ。
「どした?」
背中を優しくさする。
子供の頃から、彼女をあやす時にする行動だ。
こうすれば、流衣は落ち着くのだ。
「わたし…消太のこと、好き…かも、しれない……………」
ドクドクドク、と煩いくらいの鼓動が伝わってくる。
──やれやれ、やっとここか。
相変わらずの亀ペースの進展に、マイクは溜息を吐きたくなるが、それも今は我慢だ。
「なんでそうだと思った?」
「…恋バナ、してたら、その…消太を考えた、から」
流衣が同級生たちと恋バナをしていた事自体にマイクは驚きだが、今は何も言うまい。
「俺は知ってたぜ?」
気付くの遅いな、と笑う。
えっ、と驚いたように流衣は顔を上げた。