• テキストサイズ

【ヒロアカ】"無個性"だけどヒーロー科

第28章 気付く時



「消太だけには甘えるし、何なら声も全然違うぜ?今度録音でもするか?」
「な、なっ…!?」

ボン、と頬の熱で顔が爆発しそうだ。
そんなに判りやすかったのだろうか。
無自覚であったために、その自分の態度が恐ろしい。

──気持ち悪くなかったかな。

相澤は無駄な事が嫌いだ。
だから、無駄に甘えてくる自分が煩わしくはなかっただろうか。

うざったく思わなかっただろうか。

不安だけが募る。

──どうしよう、嫌われたら。
──消太だけには、………

ぼろぼろと、雫が溢れる。
マイクはギョッとした。

「お、おい!?録音なんてジョークだぜ判ってるか!?」
「ちが、違う…しょ………たに、きら…たくっ、ない…」

──嫌だ、嫌だ。

頭の中には「嫌だ」しか言葉が巡らず、まともなことを考えられない。

ぐるぐる、ぐるぐる。

「いやだ」が回る。

ひっくひっく、としゃくりあげると、マイクは背中を摩って宥めた。

「落ち着け、大丈夫だから。
お前は嫌われてたりしねぇよ」
「……っんで、そんな、」

「言いきれるだろ。
あいつは合理的且つ面倒は省く男だろ?
自ら嫌いな奴の世話なんてすると思うか?俺と仲良いんだから、嫌な奴なら俺にでも預けるだろ」

な?と、優しく微笑むマイク。

その瞳が浮かべる色に、流衣は気付かない。

マイクの言葉がとにかく嬉しく、そして救われた流衣は。

泣き笑いのような表情を浮かべて。

ありがとう、と抱き着いた。




それが彼にとって、どんな苦痛になるかも知らずに。


/ 288ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp