第28章 気付く時
だが、
──本当に付き合ってるって思われてるの私たち………?
たしかに、緑谷とは親しい方なのかもしれないけれど。
でも、本当に親しいのは──
そう考えて、脳裏に浮かぶ男の存在に流衣は気付いた。
──今、私は誰を思い浮かべてる?
いつも怠そうで、黒い服ばかりを身に纏い、清潔なはずなのにそうとは感じられない、そんな──
──消、太?
途端に、頬に熱が集まる。
かっこいいのは誰かと訊かれた時も、──彼を、───
──いや、まさか。
──でも。
ぐるぐる、視界が回る。
「ヘイ、ガールたち。もうそろそろ寝る時間だッ──…どうしたよ!?」
丁度良いところに、マイクが通りすがった。
ぎゅっと袖を掴むと、何かあったのだと察してくれたようで、マイクは頭を優しく撫でてくれた。
「時暮に話があるから借りるな?
女子リスナーたちは早く部屋に戻れよ〜」
「はーい」
「流衣ちゃん、また明日ねー!」
「おやすみなさいですわ!」
うん、と頬が赤いまま返す。