第26章 少女はヒーロー
情けない顔を見られたくなくて、流衣は顔を俯かせた。
「あー…時暮がなんかスゲー奴だってのは俺らも知ってる、相澤先生とのやり取りでも、何かあるんだなって思ったし。
でもさ……爆豪を助けられなかったのは俺らも同じだからさ、あんま気にすんな」
恐らく爆豪とは1番親しいであろう切島が、そう言った。
──違う、違うの。"スゲー奴"だからこそ、助けないといけなかったの。
「…切島だって気にしてる癖に」
考えていることと、発する言葉は全くの別物で。
もうぐちゃぐちゃだ。
「爆豪はダチだからな」
こんな話をしている訳ではないのに。
そうか、切島と爆豪は友達なのかと、思って。
他人を友達だと言いきれる切島と、友達だと言ってもらえる爆豪を、ただ──羨ましいなと、そう思った。