第23章 林間合宿──少女の微笑み
「っ、……………っ!」
サポート科お手製の重りを腰、手首、足にそれぞれ着け、腹筋や背筋をしたり、さらに重いものを持ち上げたりと筋トレに励む流衣。
汗ばむ彼女は体育着だというのに何とも艶めかしいが、やはり違和感を拭えない。
──林間合宿は、個性強化が目的って相澤先生は言ってたのに…
なぜ無個性の彼女が来るのだろう、と。
轟だけでなく、緑谷もまた、流衣の行動に違和感を抱いていた。
そして、往路ではそれが当然であるかのように流衣は相澤の隣に座っていた。
人数の関係で、相澤の隣に生徒が座ることになるのは仕方ない。しかし、相澤も流衣も、表情が変わらないと言うか何と言うか。
それに、多少のぎこちなさは生じるものなのではないだろうか?
2人はあまりにも自然で。
まるで、普段から互いが隣にいるかのような──さすがにないとは思うのだが。
やはり気になる。
流衣の事も、相澤先生との関係も。
考えを巡らせていると、ガン!と脇腹に衝撃が走った。
「イッ…………!?」
視線を戻すと、虎が仁王立ちしていた。
「よそ見してんじゃあないよ!!」
「す、すみませんっ!!!」
緑谷は慌てて向き直り、再びトレーニングに励んだ。