第23章 林間合宿──少女の微笑み
時刻は4時をまわり、漸く。
「さァ昨日言ったね、世話を焼くのは今日だけって!」
「己で食う飯くらい己で作れ!カレー!!」
ピクシーボブとマンダレイが、相変わらずのテンションで言う。
「イエッサ…」
ぐったりした様子で皆が答えた。
しかし、
「確かに…災害時など、避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環…さすが雄英、無駄がない!!世界一旨いカレーを作ろう皆!!」
ハッと気付いたように飯田は声を張り上げた。
相澤は飯田を便利だなと思うが、流衣の不安げな顔を見てその表情は苦笑に変わる。
なぜなら──
「なんかこのカレー、具材デカいのねぇか?」
「味は…フツー?」
男子たちの声に、流衣は思わず俯いた。
「時暮?どうしたんだ?」
轟が言うと、ごめんねと笑った。
「わ、私、その…料理とか、苦手で……」
初めて目にした"完璧っぽい"流衣の苦手分野に、男子たちはときめいた。
──可愛いからよし。
「この状況も相まってうめー!!」
そんな中、切島は唯一本当に美味しそうにカレーを頬張っていた。
「ありがと」
流衣が照れたように微笑むと、クラス中の男子が次々に美味しい!旨い!と言い始める。
流衣は初めて向けられたクラスメイトたちからの好意的な視線に、思わずはにかんだ。