第23章 林間合宿──少女の微笑み
「んー…ねる」
相澤の返答を聞いていなかったのか、どうなのか。
スリッパを脱ぐやいなや、ぼふん!と相澤の胸に飛び込むようにして眠りについた。
慌てて流衣を受け止め、そのまま抱き締めたような姿勢に困る相澤消太、30歳。
こちらの気も知らずに、すやすやと安らかに寝息をたてている。
「……………」
お前、俺をどう思っているんだ、と。
訊きたいけれど、憚られる。
どうもこいつは、こちらの気を持たせるような言動が目立つ。
そうであって欲しいとの、願望なのかもしれないけれど。
──あまり、期待させないでくれ。
優しく流衣から腕をどけ、布団に寝かせてから、相澤はそっと部屋を後にした。