第23章 林間合宿──少女の微笑み
5:20になり、漸く皆が到着した。
「とりあえず、お昼は抜くまでもなかったねえ」
ピクシーボブたちの言葉に、緑谷たちは返す言葉もないほどに疲弊している。
「バスから荷物降ろせ。本格的なスタートは明日からだ」
相澤が説明すると、ようやくクラスメイトたちは流衣の存在に気付いたようだった。
皆、驚きの表情を隠せないでいる。
「えっ…時暮さん、いつの間に!?」
「そういや俺らと一緒にはいなかったよな」
緑谷・轟の言葉に、流衣はへらっと笑った。
「すごい?」
2人を除けば、皆流衣の笑顔など初めて見る。
ザワっと俄に騒がしくなった。
「あいつ…あんな可愛かったのか…」
「笑顔初めて見た!超可愛い!」
「確かに可愛いけれど、無個性なのよね…どうやって来たのかしら…ケロケロ」
蛙吹が呟くと、皆一様に首を傾げた。
ただ1人、轟だけは心当たりがあるのか、神妙そうな顔をしていた。