第23章 林間合宿──少女の微笑み
隣にぽすんと寄りかかってきた流衣は、みんな友達なんだねと、小さく零した。
遊園地で見せたものと、同じ──哀しい笑み。
胸が、ズキンと音をたてた。
「…そうだな」
──もっと早く座らせるべきだったか。
グループ分けや席決めのとき、友人がクラスにいない者が溢れやすいのは知っている。
そして、流衣がそれを、悲しくそして、寂しく思っていることも。
癒してあげたいと思うけれど、立場もあって、自分だけは決して流衣の友人にはなれないのだ。
「……寝るね」
いつの間にか、生徒たちはそれぞれで会話を楽しんでいた。
自分だけは輪に入れない、そんな感覚。
それから逃げるように、流衣はゆっくりと目を閉じた。
──ごめんな。
本当なら、流衣は合宿に来る予定ではなかった。
この合宿の目的は個性の強化で、彼女にその必要はない。
するとしてもリスクが高すぎるから、他の生徒たちとは一緒にはできないのだ。
だがそれでも彼女を連れてきたのは、相澤のエゴだ。
「友達」という存在を目の当たりにする度、切なく微笑むその顔を。
もう、見たくないと、思ってしまったから。
彼女も、友達を欲しているのだと、知っているから。
この合宿を機に、友人ができれば、──クラスメイトとの距離が縮まればと、そう思ったからなのだ。
もっとも、彼女を家に置いてきたくないという思いも少なからず含まれているのだが──それには、気付かないふり。
マイクには呆れられるだろうけれど。
それでも相澤は。
流衣のことが、愛しくて大切で、──仕方なかったのである。