第20章 期末テスト
そして皆試験を終え、残すところ流衣だけとなった。
誰も流衣と深い交流はないためにモニター室は静まっていたが、しかし彼女の高い身体能力は誰もが評価している。
怪我のない者だけが見守る中──…
『…っと!うわ、……っ!!』
ぴょんぴょんと軽い身のこなしで相澤の捕縛から逃れる流衣。
手で体重を支えバク転したり、かと思えば物陰に身を隠したり、烈風の如く走り抜けたり。
モニター室では、先程の静寂が嘘のように歓声が上がっていた。
「すっげぇ…!!あいつ、今まで授業とかでは本気出してなかったのかな!?」
「あの身のこなし…凄いわね」
流衣は、他のチームとは違って1人で対プロだ。
だから、ハンデとして教師のつける重りは体重の約3分の2、そしてゴール前に陣取ってはいけない、且つ教師の勝ちは流衣を行動不能にしたとき。その代わりに流衣は逃げ切ってゴールする事だけが合格となる。
どちらかが勝つまで、この試験は終わらせないそうだ。つまり、時間制限は無し。
その条件に、クラスメイトたちは厳しいのではと思ったが、それは杞憂だったのかもしれない。