第19章 哀しい笑み
妙な組み合わせだと思いつつ、彼らが小さな女の子を連れていることに気付く。
──迷子か…?
とは思うも、女の子はやけに上鳴に懐いた様子だ。
親しみやすそうな雰囲気がそうさせているのだろうか。
「逆ナンはカレーにナンという意味ではなく、逆ナンパ…つまり、」
飯田の妙な力説に、相澤は溜息を吐きたくなる。
──あいつらはあの女の子に何を教えているんだ…?
──飯田がそんな奴だとは思わないが…
峰田の口車に乗せられているのだろうか。
そして、相澤の耳に届いたということは、当然流衣の耳にも届いていて。
4人のクラスメイトたちに、哀しそうな視線を送る。
眉尻が下がり、その瞳は揺れていた。
「…友達、なんだね」
ぽつりと零したその言葉は、相澤に聞かせるものではなく、無意識に本音が漏れたかのような雰囲気だった。
羨望と切なさを含むその色に。
相澤の胸は締め付けられて。
思わず、その手を握った。
まるで、俺がいるよと、言い聞かせるかのように。