第19章 哀しい笑み
彼女が指さすのはジェットコースター。
先頭部分は鷲の形が模されており、何となくその風貌だけで危険さが窺えるというものだ。
レールはかなり曲がっていて、乗り物はかなりの数回転するらしい。
その多さに無駄を感じながらも、相澤は黙って頷いた。
早く早くー、とその列にぐいぐい引っ張られていく。
最後列に着くと、
『待ち時間 50分』
というプラカードが掲げられていた。
その長さに驚き、うんざりもし、他に行かないかと提案する。
しかし流衣は、「やだ行きたい」と言って聞かない。
「じゃあ昼はどうするんだ」
「う、…………後で食べる」
言いつつも、流衣のお腹は賑やかな音を奏でている。
基本流衣に甘い相澤は仕方ないなと思いそのまま列に並ぶと、背後で聞きなれた声がした。
それも、複数。
ゆっくりと振り返り、それが正しかったと認識する。
──峰田と上鳴、飯田に…常闇、か。