第19章 哀しい笑み
ちょっとお手洗い行ってくるから待ってて、とやはり楽しそうな流衣が去って数分。
帰ってきても楽しそうな流衣は、やはりどこかテンションが普段より高い。
「ねぇねぇ、あいつらがいたよ!あいつら!!」
驚きと興奮が抑えられないのか、ブンブンと手を上下させている。
対して相澤は少し疲れていて、これが若さかと体感していた。
体術は得意だから、体力的に問題ないだろうと思っていた数時間前の自分を恨みたい。
「あいつら?」
「金髪チャラ男とチビ!!」
めっちゃナンパしてたけど毎回振られてるの笑えたー、と流衣は楽しそうだ。
その組み合わせに、生徒の顔が浮かぶ。
相澤の表情は強ばった。
「帰ろう。生徒たちに見つかったら拙い」
「えー、大丈夫でしょ。あいつら馬鹿っぽいし、多分気付かないよ」
と、流衣は酷い言い草だ。
真顔だから、本気でそう思っているのだろう。
こうなっては、有事に至るまで流衣が考えを変えることはない。
はぁ、と諦め溜息を吐くと、流衣はまた、嬉しそうに笑った。
「やったね!…じゃ、次はあれ乗ろ!」