第19章 哀しい笑み
「何──」
質問し終わる前に、流衣は全身に力を込めた。
刹那、周囲からあらゆる色と音が消える。
「…おい」
ちゃんと説明しろと相澤が言うと、流衣は舌を出して笑った。
「自分の力が、どこまで通用するのかを知りたくて。…夜だと、分かりにくいから」
そう言いつつ、鞄から取り出した双眼鏡で辺りを見回している。
「んー…範囲はかなりいけるね」
確認させてから、相澤は流衣の個性を"抹消"した。
音も色も戻ってくる。
流衣は不満顔だったが、「もういいだろ」と言うと、分かったよと納得した。
「私が観覧車でしたいのはこれだけだから。…あとは思いっきり遊ぼ!」
言葉通り、流衣は思い切り遊園地を満喫し、──相澤は、ここに来たことを微妙に後悔することになる。