第19章 哀しい笑み
少し歩いて、流衣が待っていたのは観覧車の前だった。
相澤の認識では、それは最後──つまり、"シメ"に乗るもの。
最近の若者は違うのだろうか。
夕焼けと一緒にというのが常識なのだと思っていたが、違うのか。
まあ流衣が乗りたいのなら、と大人しく横に並ぶ。
「足元に注意してくださいねー」
にこやかに笑う従業員。
その声に従い、流衣から先に乗り込む。
そのまま扉が閉められ、機体は上昇していく。
頂上まであと少しという所で、流衣は緊張した面持ちになって相澤の隣に腰掛けた。
「ちょっと、付き合って」