第19章 哀しい笑み
そう思った矢先、同僚である13号が気をきかせてくれたのだ。
──「これ、貰い物なんですけど…ペアだったので」
僕は一緒に行く人いないし、と渡されたのは仕事の帰り際だった。
そこに居合わせた流衣は嬉しそうに飛び上がり、「ありがとう!」と声を弾ませた。
そんな近場、誰に見られているとも分からないだろうと断ろうとしていた相澤は言葉に詰まり、行こうかという話に繋がったのだった。
しかし、入った瞬間に後悔する。
目に飛び込んできたのは、ポップな色のアトラクション。
動物の耳を頭に着けてはしゃぐ者もいる。
──マイクの方が楽しめただろ。
そうは思うも、流衣の笑顔が見れて良かったとも思う。
13号に感謝である。
「あっ」
入口で手に入れた地図を見、何か見つけたのか、流衣は一直線に迷いなく北の方角に走って行った。
──楽しそうで何より…
こっちは疲れたけど、と呟き相澤はそのあとを追う。