第19章 哀しい笑み
「楽しみだね!」
「…」
ズードリームランドの開門数十分後。
その入口には、男と少女が2人。
その2人は、異様な組み合わせをしていた。
男は、暗い色で固めた服を身に纏い、それでいて端正な顔立ちを引き立たせるかのように髪は後ろで縛っている。
目元の傷跡が印象的な、妙齢の男だった。
少女は、見るからにして学生。
高校生くらいだろうか。
男とは対照的に、服装は明るい。
英字ロゴの入った白いTシャツに、ギンガムチェックのスカートを合わせている。
活発な印象を与えるその少女は、サイドで髪をひとつに結わえており、そのせいで見える華奢な首にはネックレスが輝いていた。
男──相澤消太は、少女の表情に、僅かながら顔を綻ばせた。
──お前は、笑っているのが1番良いよ。
流衣は高校に入ってから、寂しそうに笑うことが増えた。
周囲はそれに気付いているというのに、流衣本人は必死で誤魔化そうとする。
それが痛々しくてならないのだ。