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【ヒロアカ】"無個性"だけどヒーロー科

第16章 職場体験



「待っていたぞ、焦凍」

事務所に到着すると、エンデヴァーが1人で待っていた。
エンデヴァーは和解したつもりなのだろうか。
しかし轟は、そっちに歩み寄るつもりなど微塵もない。

「俺は俺の道を進む…だが、ここに来たのはお前に聞きたいことがあったからでもある」

しっかりとエンデヴァーの目を見て、轟は問うた。

「時暮流衣…知っているよな」
「…ああ、お前のクラスメイトだろう?体育祭の時に挨拶された。どうした、交際でも始めたか」

──体育祭に、流衣は来ていた…?

轟は疑問を覚えるが、話は逸らさない。
一方、エンデヴァーはとうとう訊かれる時が来たか、と思うがそれを悟られないように顔を強ばらせた。
話を逸らそうと試みるが、良好な関係ではないとはいえやはり親子。
親の考えは分かってしまうらしい。

「誤魔化すな。ヒーローとして、あいつを知っているのかって訊いてんだ」
「…………」

答えるのは、規則に違反する。
下手をすれば、ヒーロー資格の永久停止になるだろう。
だが、焦凍はどこか確信の篭った目で見てくる。
暫くの睨み合いの結果、折れたのはエンデヴァーの方だった。

「…◦◦病院で起きた事件について調べてみろ。お前の生まれた年だ。……これ以上は言わん」

くるりと背を向け、行くぞと声を掛けた。
彼女のことは、今はまだ調べるな。
言外に、そういった意味を含めて。



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