第15章 特別な少女
相澤に連れられ、教室を出ていく流衣を見て緑谷は首を傾げた。
──どうしたんだろう。ヒーロー名は考えないのかな?
交流が少なくても気にはなるのか、他のクラスメイトたちもちらちらとドアの方に視線を遣る。
緑谷も、その例外ではなかった。
しかし、考えても仕方の無いことだとすぐさま思い直す。
そして、ヒーロー名について思考を巡らせようとして──
──そういえば。
思考は脱線する。
──ヒーロー名といえば、だけど。
──クロノスって、かっこいい名前だけど…男の人なのかな。女の人なのかな。
実在が疑われている故、"幻"と言われるヒーローの事を思い浮かべる。
名前しか知らない、正体不明のヒーロー。
性別すら不明なのは、緑谷の知る限りではクロノスだけである。