第2章 少女の名は
それ以降、爆豪と女子生徒に話しかけようとする者はいなかった。
ただ、2人自体は気になるようで、クラスメイトたち皆が遠巻きに見つめていた。
そしてテストは終わり、除籍処分も「嘘」と分かって──…
「相澤くんのウソつき!」
相澤が校舎の影に隠れた途端、そんな声が彼を呼び止めた。
「オールマイトさん…見てたんですね。暇なんですか?」
「合理的虚偽って事にしたのは…君もあの子に可能性を感じたからだろう!?」
ズバッとオールマイトが言うと、相澤は君も、との単語に反応を示した。
「随分と肩入れしてるんですね…先生としてそれはどうなんですか?」
図星を突かれ、固まるオールマイト。
しかし、
「じゃあ、君は?」
と冗談半分で訊いてみる。
敢えて誰、とは言わなかったが──オールマイトが指しているのは、とある女子生徒の事だった。
オールマイトは、例の女子生徒──時暮流衣と面識がある。そして、彼女の身体能力がどれ程のものかは理解しているつもりだ。
遠目で見ていただけだったが、それでも彼女らしい成績を出せていたようには見えなかった。