第2章 少女の名は
両の手から小さく爆発させながら、爆豪は威嚇した。
一応相手は女の子ということで、直接攻撃を加えるつもりはないようだ。
しかし、少女はそんな爆豪には目もくれず、隣を通り過ぎる。
少女の視界に、自分は入っていない──その事実に、爆豪はキレた。
先程の緑谷の成績についての苛立ちもあり、沸点は普段よりも格段に低くなっていたようだった。
爆豪が少女に襲い掛かる。
──マズい!!!
少女の身に危機を感じ、数人が相澤を見る。
しかし相澤はじっとその様子を観察したまま、動こうとしない。
そして残りの男子は、止めようと爆豪の元に走──…
ろうとしたが、何が起こったのか、爆豪がその場で膝をついた。
その数歩先で、女子生徒は爆豪を見下ろしていた。
彼女の無表情さが、緑谷にはやけに不気味に映る。
「クッソ、てめー…何、しやがった…」
自分の身に何が起こったかは爆豪本人も理解が追いついていないようだった。
無表情のまま、少女──流衣は言い放つ。
「そんな事すら分からないなら、私の相手にはならないよ。精進したまえ、爆豪勝己くん」