第12章 友達、そして覚悟
ドリンクが運ばれてきて、テレビの音量をゼロにする。
ドアの向こうからは、微かにほかの部屋の歌声が聞こえてくる。
静まりかえった部屋で、緑谷と流衣は対面していた。
「この前、緑谷がヒーローを志望した理由は聞いたから…うーん、そうだな、あんまり知られていなかったり、実績の少ないヒーローについて教えてくれない?好きに、語って欲しい」
──不思議な、要望だなあ。
緑谷は首を傾げるも、いいよと笑ってうなずいた。
「そうだなあ、僕がオススメなのはこの、カラーレスヒーローかな!個性は色彩、触れたものの色を消して、彼が触れて色が消えたものは動きを止めるんだ!それも数分間だけらしいんだけど、おかげで彼の敵捕縛率の高さといったら!それから、彼はね────」
熱心に聞いてくれる流衣に、緑谷もいよいよ熱が籠りだす。
ヒーローの話をこんなにも聞いてくれる人が初めてなので、嬉しく、話しながらもなんて幸せなんだろうと思う。
スマホで検索して出てくる画像を時折見せながらのプレゼンは、彼女にも面白いものだったようで、次第に身を乗り出してきた。