第12章 友達、そして覚悟
それから緑谷は小さなメモを流衣に手渡し、それから頬を紅く染めた。
──女子か!
流衣の方は全く照れた様子も見せず、ありがとうとそのメモを受け取る。
和やかな空気が流れる中──、
「無個性の癖に俺の席んとこ来んじゃねぇよ!!!とっとと席戻れやクソアマ!!!!!!!」
トイレから戻ってきた爆豪が、流衣の姿を確認するや否や声を荒らげた。
「煩いな、予鈴までにはまだ時間あるでしょ?そんなに無個性の女が気になる?」
「あぁ!?気になってねぇわクソが!!!死ね!!!!!!」
「じゃあ黙ってて。今私は緑谷と話してるの、邪魔しないでよ」
その発言を、「2人の時間の邪魔をするな」ととったクラスメイトたちは顔を赤く染め、そして相変わらずの爆豪に苦笑する。
「てめぇ…いつか絶対殺す」
「はいはい。頑張ってね、無理だと思うけど」
どこまでもつれない流衣に、爆豪はヒートアップしていく。
それに気付いた緑谷が、慌てて流衣の袖を掴んだ。
「かっちゃんがああなると面倒だから、ごめん、この続きはメールでもいいかな?」
「わかった。ごめん」
じゃあまた日曜ね、とひらひら手を振り、流衣は自席に戻っていった。