休載P4A 【 My happy definition】
第16章 (アニメの12話)
千枝に手をつながれて先へ進むと、クマくんと悠が少し離れて後からついてきていた。私は声をかけようか迷っていると、突然警報が響き渡った。
私たちの目の高さにWARNINGの文字が赤く点滅する。ボス戦に入る前のようなそんな演出だ。
『だっ誰だお前っ』
『僕は無だ。そして君は僕だ』
どこからか聞き覚えのある声が聞こえる。おそらくマヨナカテレビに映ったあの男の子。
「この声って、もしかして!」
一本道を走り抜けると、突き当りには大きな木製のように見えるが、触った感触は異なった。まだ明けるつもりはなかったが、触れたと同時に勝手に開きだした。
「俺がっ殺してやったんだーっ!!」
扉の先は眩しく、叫び声だけが聞こえた。本当にこの人がやったのだろうか。目が慣れて見えた光景は、黄色いトレーナーを着た男の子が、同じ格好をしゲームをしている男の子に怒鳴っているものだった。
「さっさと失せろ!」
「認めないんだね、僕を…
空っぽを終わりにしてあげる」
ゲームをしていた男の子がこちらへ振り向くと、金色の目をしていた。たちまち黒いオーラが現れ、大きな赤ちゃんのようなシャドウへと変身した。
「結局こうなんのかよっ」
私たちも戦闘隊形をとり、それぞれペルソナを召喚した。すると、赤ちゃんシャドウの周りにブロックが集まり、ドット絵の勇者になった。
「これめんどくさい敵かも」
ヒミコを使い分析してくれるりせちゃんが難しい顔をしている。一筋縄ではいかないのか。
「すぐ勇者の姿に戻っちゃう…」
「くそっきりないな」
「疲れてきちゃうよ」
勇者の姿を倒せば中から本体であろう赤ちゃんのシャドウが出てくる。しかし大きなダメージを与える前に、また勇者の姿に戻ってしまうのだ。
「ルナ、シャドウの防御を弱めれないか?」
「できるかもっ」
「よし、みんなはルナがシャドウを弱めた時に集中攻撃を。俺は崩れたすきに本体を倒す」
「でも、さすがに悠だけじゃ心配だよっ」
「いや、俺がやるっ」
ここの部屋に入る前、悠の足取りは重いのかクマくんとゆっくり歩いていた。何か考えが…悩みがあるのだろうか。私たちの声に耳を傾けてくれず、悠の作戦を試してみることになった。