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休載P4A 【 My happy definition】

第15章 可愛い後輩(アニメの11話)




「ちょっと待っててね」
「え、はいっす」


自販機で水を買い戻ってくると、巽くんはハタハタと手で顔を仰いでいた。そして顔の熱は引いたみたい。

「熱中症までいかないかもしれないけど、用心しなきゃだもんね。はい、これ飲んで」
「あざっす」


のどが渇いていたのか、ペットボトルが中身が減るにつれてどんどんつぶれていってしまった。

「ぷはぁ~…って、違うっす!!」
「な、なにがっ!?お茶がよかったのかな!?」
「そうじゃなくって!
いや、俺が言葉足らずでした」
「そんなことないよ、私が勝手に用意したものだから気にしないで?」


てっきり水のことだと思っていたが、大きく首を横に振られてしまった。


「いや、その、あ、あれっす」
「あれ」
「あの、りせ助けに行ったとき…」
「あっ!ごめん、ちゃんとお礼言ってなかったよね、すっかり忘れてた」
「…忘れてた」
「クマくんのシャドウの時、本当にありがとうね。
すっごく冷や汗かいたんだよ、巽くんが助けてくれなかったらどうなってたんだろ」

どうしても巽くんの目を見ようとすると上目遣いになってしまう。育ち盛りの男の子はすごいなぁ、と改めて思ったしまった。

「い、いや、俺も必死で捕まえたんで、無事でよかったっす。その後の、あれずっと腕組んでたのがちょっといいなとか思ってたとかそんなんじゃなくって…ってええええ!!」
「ああああ、あの事っ」


何で巽くんが顔を赤くしていたのかようやく分かってしまい、私までもなんだか熱くなってしまった。私がしばらく腕をつかんでいたのだ。そういえばそうだ、思い出してしまった。クマくんも無事でうれしくって夢中で…

「ごめんなさいっ私ってば…」

「謝んなくていいっす!!俺、うれしかったっす!」
「うれしいっ!?」
「ちが、そういうんじゃなくって、何言ってんだ俺っ」
「私も、巽くんに助けてもらえてうれしかったっていうか、な、なんて言えばいいのっ?」
「んなの俺に聞くなってのっ!」
「そうだよねっ」


おろおろしていると、いつの間にか私と巽くんの前に前掛けをしたキツネがいた。そのキツネは私たちの前に500円玉を置いていくと、惣菜大学の夏場だけの野外に置いているアイスケースの前に座りこっちにこい、と言わんばかりに首を動かした。


「アイス、食べれってことっすか?」
「頭冷やせってことなのかな」
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